歯形地蔵~妻に噛みつかれたお地蔵さん

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最近、都会では見かけることが少なくなったお地蔵さんですが、京都の町では、まだまだ、あちらこちらでお地蔵さんに出会うことができます。

京都市北区にある「千本鞍馬口」というバス停の、そのすぐ北に、注意しないと見過ごしてしまいそうな小さなお堂があります。このお堂には地域の人たちの生活と密着し、親しまれているお地蔵さんがいらっしゃいます。

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ところで、このお地蔵さん、ちょっと風変わりな名前がついているのです。その名前とは「歯形地蔵(はがたじぞう)」。どうして、そんな名前がついたのでしょうか? 今回は、その名前の由来となる伝説が今も語り継がれる「歯形地蔵」の話をしましょう。

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もともとは「逆さ川地蔵」という名が付いていた

この歯形地蔵がある場所には、明治の初め頃まで、「逆さ川(さかさがわ)」と呼ばれる小さな川が流れていました。ちょっと余談になりますが、京都市内の地形は北から南に緩やかに下っていて、普通、川は北から南に向かって流れるわけですが、何故か、「逆さ川」はその名の如く、南から北に向かって流れていたと言われています。今はもうその川は埋め立てられて、その事実を確かめる術はありませんが、不思議な川だったようです。

千本通には、その逆さ川に架かる橋があって、その橋のたもとに「逆さ川地蔵(さかさがわじぞう)」という名前のお地蔵さんが安置されていました。このお地蔵さんが、今の「歯形地蔵」なのですが、「歯形地蔵」と呼ばれるようになったのは、ある出来事があったからなのです。その出来事とは・・・。

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「歯形地蔵」と呼ばれるようになった、ある壮絶な出来事

その昔、逆さ川地蔵の近くに、大工の夫婦が住んでいました。夫は仕事一筋で、近所でも評判のイイ男。今で言えば、イケメンというのでしょう。そんな夫のことを、妻は他の女に盗られるのではと気が気でなく、いつも浮気の心配をしていました。少しでも帰りが遅いと、出先にまで迎えに行くぐらいだったそうです。

そんなある日、夕方になって急に雨が降ってきたので、妻は傘を持って、夫を迎えに仕事先に向かっていると、偶然にも美しい若い女性と相合傘で歩いている夫にバッタリと出会ってしまったのです。その夫の姿を見た妻は血の気が引くほど逆上し、獣の咆哮のような叫び声をあげながら、鬼の形相で、夫に飛びかかって来ました。それに驚いた夫がとっさに横にあった逆さ川地蔵に身を隠した、その瞬間、妻は夫の肩をガブリッ!・・・。ところが妻が噛みついたのは夫の肩ではなく、お地蔵さんの肩だったのです。

恐ろしい力で噛みついたため、妻の歯はお地蔵さんの肩に食い込み、離れなくなってしまいました。そこに偶然、通りかかったお坊さんが苦しんでいる妻の姿を見て、あまりに気の毒だということでお経を唱えたところ、妻の歯はお地蔵さんの肩から離れました。しかし、妻はそのまま息絶えてしまったのでした。

このように、お地蔵さんの肩に妻の歯形が残ったことから、その後、誰言うとなく、逆さ川地蔵は「歯形地蔵」と呼ばれるようになったのです。

男尊女卑の風潮から生まれた作り話

歯形地蔵は逆さ川が埋め立てられた時に、現在地に移されたそうですが、今のお堂の中には高さ50センチほどの地蔵像が3体あって、その真ん中に鎮座しているのが「歯形地蔵」です。そのお地蔵さんの左肩には実際に複数の小さなくぼみがあり、見ようによっては歯形が付いたかのように見えるそうです。

昔は男尊女卑の風潮が強く、妻は夫に従うのが当然とされていました。夫に逆らうと酷い目に遭うという戒めから、もともと傷があったお地蔵さんを基にして、当時の人が作った話しだということですが、その逆で、妻を大事にしないと痛い目に遭うぞという男に対しての戒めでもあったのではないでしょうか。

歯医者に行く前にお参りを!

この歯形地蔵には夫の身代わりになったことから、歯の痛みを和らげてくれる効力があると言われます。歯医者に行く前に、歯形地蔵に寄って手を合わせてお願いすると、治療も少しは楽になるかもしれませんね。

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歯形地蔵:京都市北区千本通鞍馬口上ル東側

(写真・画像等の無断使用は禁じます。)

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