京都のきつねうどんに隠された不思議な話

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江戸落語に「時そば」という有名な演目があります。これは、時を告げる鐘の数を利用して、そばの勘定を誤魔化す滑稽な話ですが、この話の元になったのは、上方落語の「時うどん」。関西では、昔から麺類と言えば、「そばよりもうどん」というイメージがありますが、京都にもうどんのおいしいお店がたくさんあります。

京都のうどんの醍醐味はなんといっても、だし。京料理とともに発達してきた、カツオと昆布の風味を利かせた薄味のだしは絶品で、細めで、もちっとした食感の京うどんとのコンビはまさに絶妙。ところで、そんな京都のきつねうどんには、あるひとつの伝説があるのです。今回は京都の「きつねうどん」の話をしましょう。

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うどんの定番、きつねうどん

関西のうどんの定番と言えば、「きつねうどん」です。「きつねうどん」は明治の頃に、大阪の「松葉屋」というお店で始まったと言われています。商売繁盛で有名な京都の伏見稲荷大社のお使いとされる狐は縁起の良い動物とされていて、その狐の名前がついた「きつねうどん」も縁起が良いということで、「きつねうどん」は京都でも人気のあるうどんです。

京都には2つのきつねうどんがある

きつねうどんは、甘い味が染みこんだ四角い油揚げが1枚か2枚、載っているうどんのことですが、京都には2つの種類のきつねうどんがあるのです。それは「甘ぎつね」と「刻みきつね」。

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「甘ぎつね」とは、甘い味のついた大きな揚げが載った、いわゆる、きつねうどんですが、「刻みきつね」は、甘い味がついていない細く刻んだ揚げが載ったうどんなのです。

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どうしてこのように、京都には「刻みきつね」という別バージョンのきつねうどんがあるか気になるところですが、それは、おちょぼ口で食べないといけない舞妓さんが食べやすいようにということで、揚げを小さく刻んだことが始まりで、それがひとつのメニューとして定着したようです。因みに、お店できつねうどんと注文すると、「甘ぎつね」が出てきます。

“信太(しのだ)”とは?

ところで、年配のお客さんの中には、「信太(しのだ)、ください」と注文する人がいます。“信太”と頼んで、何が出てくるか、わかりますか? それは、“信太”と頼むときつねうどんが出てくるのです。今の若い人は、「信太」と聞いても、きっと何のことかわからないでしょうね。

ところで、何故、きつねうどんのことを“信太”と言うのでしょうか? それは、この“信太”には、陰陽師の安倍晴明と深い関係があったのです。

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安倍晴明の母親は狐だった!?

安倍晴明の母は実は人間の姿に化けた狐だったという言い伝えがあります。晴明の父、安倍保名(あべのやすな)もまた陰陽師でしたが、この保名が大阪・和泉にある信太明神にお参りをしたとき、美しい女性に出会い、二人は結ばれて、生まれた子どもが晴明でした。

それから数年後のある日、母は狐であることを保名に知られてしまい、『恋しくば尋ねて来てみよ 和泉なる信太の森のうらみ葛の葉』と言い残して、自分のふるさとの信太の森に逃げ帰ってしまいました。

保名と幼い晴明は信太の森へ母に会いに行って、帰ってきて欲しいと説得するのですが、母は保名と晴明のもとには帰らず、その代わり、母は晴明に護符を授け、水晶の玉を渡したのでした。その護符と水晶玉の力のお陰で、後に晴明は当代随一の陰陽師になったと言われています。

祈祷や占いに優れた力を持っていたとされる安倍晴明が本当に狐から生まれた子であるかどうかはわかりませんが、きつねうどんのことを“信太”と呼ばれる由縁はこの不思議な話にあったのです。

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実在した人物、安倍晴明

因みに安倍晴明には、様々な伝説があって、謎の多い人物ですが、実在したことは確かなようです。記録によると晴明は921(延喜21)年に生まれ、1005(寛弘2)年に亡くなっています。ということは85歳まで生きたことになるわけですから、当時としてはかなりの長生きと言えるでしょう。晴明の持つ人並み外れた能力や長命を考えれば、狐から生まれたというのはまんざらデタラメではないかもしれませんね。

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(写真・画像等の無断使用は禁じます。)

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