高台寺 ~ねねが見詰めるものとは!?

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今年、2015年2月17日、午後10時30分頃に東山にある高台寺で火災が起きているという速報が流れた瞬間、脳裏には2000年5月9日の未明に京都・大原の寂光院の本堂が不慮の火災によって焼失した出来事が浮かびました。大変なことになったと内心、焦りましたが、焼けたのは、本堂の西側にある木造平屋建ての物置小屋で、貴重な文化財の焼失はなかったのは不幸中の幸い…、ホッとしました。文化財が焼けてしまうということは、極端かもしれませんが、人類にとって大きな損失ですものね。

高台寺は過去に起きた幾たびの火災により、その伽藍の大部分は焼失しましたが、秀吉とねねが祀られた霊屋(おたまや)や開山堂、茶室の時雨亭(しぐれてい)や傘亭(からかさてい)などは創建当時の姿を今に残しています。

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境内のやや高い位置にある霊屋からは物置小屋が燃えている様子がよく見て取れたことと思いますが、霊屋に祀られたねねさんも、きっとその火事には気が気じゃなかったことでしょうね…。今回は豊臣秀吉の妻、ねねが開いた「高台寺(こうだいじ)」の話をしましょう。

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ねねが建てた禅寺

円山公園から一年坂へ向かう「ねねの道」の途中にある台所坂(だいどころざか)の石段を上ったところに、高台寺はあります。

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高台寺は、1606(慶長11)年に豊臣秀吉の正室ねね(北政所:出家後は高台院湖月尼)が、生母、養父母、そして夫の秀吉の菩提を弔うために創建した臨済宗建仁寺派の禅寺です。

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徳川家の膨大な資金が投じられて建てられたと言われる高台寺は、創建当時、10万坪にも及ぶ広大な敷地を有した豪華絢爛な寺院だったそうですが、その後の度重なる火災や明治時代に行われた廃仏毀釈により、現在の規模に縮小されました。

高台寺の境内に入り、江戸時代の豪商・灰屋紹益(はいや じょうえき)が、その妻の吉野太夫(よしのたゆう)を偲んで建てたと言われる茶室「遺芳庵(いほうあん)」を通り過ぎると、石組みが特徴的な美しい庭園がいきなり目の前に広がります。

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ねねが愛した小堀遠州作の庭園

この庭園は、家康の時代に大名になった、茶人であり、建築家であり、作庭家の小堀遠州(こぼり えんしゅう)の作です。

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高台寺第一世の住職、三江紹益(さんこう じょうえき)禅師が祀られた「開山堂(かいざんどう:重要文化財)を挟んで、東に「臥龍池(がりゅうち)、西に堰月池(えんげつち)があります。

その堰月池には月を眺めるための「観月台(かんげつだい:重文)と呼ばれる建物がありますが、これは秀吉の遺愛のもので、そこから観る月は格別の風情があるそうです。ねねはここで亡き秀吉を偲びながら、夜空に浮かぶ月を愛でたのでしょうか…。

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庭園の中でも印象的な建築物なのが、開山堂から高台にある霊屋に繋がる廊下、「臥龍廊(がりゅうろう)」です。その名の通り、形状が龍の背に似ていることから名付けられたわけですが、その形状は当時としてはかなり斬新だったのではないでしょうか。

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桃山時代の芸術を見ることができる霊屋

その臥龍廊を上ったところに、秀吉とねねが祀られている「霊屋(おたまや)」があります。その中にはふたりが仲が良かったことを示すように、右側に秀吉、左側に法体姿(ほったいすがた=僧侶の姿)の高台院ねねの木像が並んで安置されています。

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また、ふたりの木像が置かれている須弥壇(しゅみだん)と像が収まる厨子(ずし)の扉には、黒漆に金粉を蒔いて文様を浮かび上がらせる平蒔絵(ひらまきえ)という技法が用いられた蒔絵が施され、それは、桃山時代の漆工芸美術の粋を集めたものであることから、特に“高台寺蒔絵”と呼ばれています。

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違和感のある、ねねの座り方

さて、そのねねの木像ですが、もしかするとその姿に違和感を覚えられる人もいるかもしれません。と言うのは、ねねは右膝を立てた姿で座っているからです。確かにその姿を見て「高台院ともあろう方が、なんてお行儀の悪い…」と思うこともあるかと思いますが、実は、立て膝を立てて座るのは「胡跪(こき)」と言って、当時の女性の正式な座り方なのです。つまり、ねねは行儀が悪いのではなく、関白秀吉の正室として、「私は秀吉の妻よ」と言わんばかりに毅然とした姿で座っているというわけなのです。

ねねが見つめる先にあるもの

ところで、木像のねねは穏やかな表情をしていますが、その目は遠くを見詰め、何かを見守っているかのように見えます。ねねはいったい何を…。その見詰めている方角からすると、ねねは、東山の阿弥陀ヶ峰にある秀吉の廟を見守っているのかもしれません。秀吉は女好きで、側室もたくさん抱えていたと言われていますが、ねねは死してなお、夫である秀吉がどこかで悪さをしていないかと心配しているのではないでしょうか。ねねの像を見ていると「こら! おみゃあさん!」と尾張訛りのねねの声が聞こえてきそうです。

いろいろと見どころの多い、秀吉とねねのお寺、高台寺。暑い夏が過ぎ、木の葉が色づく秋の頃に訪れてみては如何でしょう…。

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高台寺:京都市東山区高台寺下河原町526 TEL : 075-561-9966

(写真・画像等の無断使用は禁じます。)

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