京の七不思議 その11『西本願寺の七不思議』

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世界文化遺産のひとつ、西本願寺

京都の人たちには“お西さん”の愛称で親しまれている「西本願寺(にしほんがんじ)」。西本願寺は通称で、正式名称は「龍谷山(りゅうこくざん)本願寺」ですが、お隣にある真宗大谷派の本山「東本願寺(ひがしほんがんじ)」と区別するために、通称で呼ばれるのが一般的になっています。

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1994年12月に「古都京都の文化財」のひとつとして、世界文化遺産に登録された西本願寺は、豊臣秀吉から寺地を寄進されたこともあって、その秀吉の影響を受け、伏見城とゆかりのあるものが多く残されています。

今回は宗祖、親鸞聖人の廟堂を発祥とする西本願寺の「七不思議」の話をしましょう。

西本願寺の七不思議とは!?

“七不思議”と聞くと、7つの不思議があると思われますが、“七不思議”とは、不思議の代名詞のようなもので、必ずしも、不思議が7つというわけではありません。実際には7つ以上の不思議があることが多く、この西本願寺には28もの不思議があるとされています。その中から厳選して、7つの不思議を紹介することにしましょう。

西本願寺の七不思議:その1「水吹き銀杏」

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境内にある御影堂の左手前に「水吹き銀杏(みずふきいちょう)」と呼ばれる巨大な銀杏(イチョウ)があります。

この大銀杏は、江戸時代、1759(宝暦9)年に大坂の門徒により植えられたものだそうですが、樹齢は約400年と推定され、高さ15m、幹周り7m、枝廻り30mもあるスケールの大きさとその勢いには、いつ見ても圧倒されます。

この大銀杏が「水吹き銀杏」と呼ばれるようになったのは、1788(天明8)年に、京の都の大半を焼き尽くしたと言われる「天明の大火」が起きたときに、この大銀杏の葉から水が吹き出して、御影堂などの伽藍を火から守ったという言い伝えがあるからです。

織田信長が襲撃されたことで知られる本能寺の境内にも大きな銀杏「火伏せの銀杏」がありますが、この銀杏も天明の大火の時に、葉から水が吹きだして、火から逃れた人々を守ったという言い伝えがあります。

どちらの銀杏も本当に水が吹きだしたかどうかはさておき、銀杏は保水力に優れていて、他の植物に比べると、熱に耐える能力は抜群であることは事実(今でも街路樹として用いられている)なので、大銀杏が類焼を防いだということは実際にあったことかもしれませんね。また、葉に含まれている水分が熱で水蒸気となって放出され、それが水が吹き出ているように見えたということもあったかもしれません。これだけ大きい銀杏ともなると、人智を越えた能力があるように思えます。

また、この「水吹き銀杏」は、「逆さ銀杏」とも呼ばれています。この銀杏は、枝が左右に大きくひろがっていますが、それは、この銀杏が苗木の時に、ある高僧が間違って逆さに植えてしまったために、枝が横に広がったという言い伝えから、「逆さ銀杏」と呼ばれるようになったそうです。確かに、上に伸びずに、これだけ枝を左右に広げる銀杏は珍しいかもしれませんね。

西本願寺の七不思議:その2「太鼓楼」

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境内の北東角に建つ「太鼓楼(たいころう)」。ちょっと風変わりな様相を呈した重層の楼閣で、今でも楼内には新旧2つの太鼓が置かれています。古い方の太鼓は胴の部分にツツジの木が使われた珍しいもので、豊臣秀吉が寄進した太鼓だと言われています。

この太鼓楼は、鐘が吊された鐘楼のように周囲に時刻を告げたり、法要の合図をするための建物なのですが、寺院に太鼓楼があることは、極めて珍しいことなのだそうです。本来なら、鐘楼があればいいところ、わざわざ、太鼓楼といった風変わりな建物を造ったのは、やはり、秀吉に関係するところが大きかったということなのでしょうか…。

因みに、幕末の頃、この太鼓楼は新撰組の屯所として使われたこともありました。境内では大砲や鉄砲の射撃の練習が行われたり、食料として豚を飼育するなど、僧侶や信徒を震撼させる毎日だったとか…。さぞかし、お寺にとっては迷惑なことだったでしょうね。

西本願寺の七不思議:その3「唐門」

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境内の南、北小路通に面したところに、「唐門(からもん)」と呼ばれる桃山時代の豪華な装飾が施された立派な門があります。国宝にも指定されている唐門は、檜皮葺き(ひわだぶき)・唐破風(からはふ)の四脚門で、伏見城の遺構だとされています。この門を見ただけでも、西本願寺が秀吉の影響を強く受けていることがわかります。

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その装飾は本当に見事で、細部にわたる彫刻には思わず魅入ってしまいますが、その彫刻を丹念に眺めていると、時が経つのも忘れ、日が暮れてしまうことから、“日暮門(ひぐらしもん)”という異名もあります。

この唐門には幾つかの言い伝えがあります。門に彫刻された鶴は、江戸時代の彫刻職人、左甚五郎(ひだりじんごろう)の作と伝えられているのですが、夜になると門から抜け出して、飛び回り、鳴いて騒いだと言われています。あまりにうるさいので、その鶴の首を切り落としたという話も…。

また、この唐門には鳥は巣を作らず、蜘蛛も巣を張らないとも言われています。これは八坂神社の西門などに残されている言い伝えと同じものですが、どうしてなんでしょうね。蜘蛛は邪悪とされているので、門はその邪悪な蜘蛛でさえ近寄れない神聖な入り口ということなのでしょうか…。

因みに、唐門にある彫り物の麒麟(きりん)の意匠は、麒麟麦酒(キリンビール)の商標の参考にされたそうですよ。

西本願寺の七不思議:その4「抜け雀」

「抜け雀(ぬけすずめ)」と言えば、知恩院の七不思議のひとつとして、よく知られていますが、西本願寺にも同じような不思議がありました。

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国宝の大書院にある白書院には小広間がいくつかありますが、その小広間のひとつ、「雀の間」には、かの有名な絵師、円山応挙の長男である円山応瑞(まるやま おうずい)によって描かれた、66羽の雀の障壁画があります。この雀、もともとは68羽、描かれていたそうなのですが、いつしか、2羽が抜け出して、どこかへ飛んでいってしまったと言われています。一説によると、抜け出した2羽の雀は聖地を求めて飛んで行ったとか…。この不思議を信じるか否かは、ご覧になる方にお任せしましょう。

西本願寺の七不思議:その5「逆遠近法の障壁画」

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大書院に門主と門徒が対面するための大広間があります。この大広間は「対面所」と呼ばれていますが、畳にして203畳もある広さで、広間を上段と下段に二分する境の欄間に鴻(ひしくい:カモ科の水鳥)の飛ぶ姿が彫刻されていることから、「鴻の間(ひしくいのま)」とも呼ばれています。

この対面所には、多くの障壁画が飾られていますが、上段中央には、前漢初期の政治家であって軍師でもあった張良(ちょうりょう)が四賢人(孟子・顔子・曽氏・子思)を率いて、恵帝(けいてい)に謁見する様子が描かれた「張良引四皓図(ちょうりょういんしこうず)」があります。この絵を見ていると、どこか奇妙な感覚に襲われてくるのですが、それはこの障壁画が“逆遠近法”で描かれているためです。

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この手法で描いた絵を背景にすると、その前に座った人物は大きく見えるという効果があるらしいのですが、それは、小柄であった豊臣秀吉が上段に座ったときに、少しでも秀吉の体を大きく見せるために描かれたのだそうです。わざわざ、逆遠近法を用いてまで、自分を大きく見せようとした秀吉は、自分が小さいことに相当、コンプレックスを持っていたようですね。

西本願寺の七不思議:その6「白州水屋の手水鉢」

境内の奥庭に、これといった特徴のない、普通の手水鉢(ちょうずばち)がありますが、この手水鉢に使われている石はもともとは羅城門にあった石で、源頼光の家臣である四天王のひとり、渡辺綱(わたなべのつな)が鬼の腕を斬った後、屋敷に持ち帰り、暫くの間、その鬼の腕を入れていた(保存した?)石櫃(せきひつ:石製の箱)に使われていた石だと言われています。そういうことで、この手水鉢は「鬼の手水鉢」とも呼ばれています。

ところで、その腕とは史上最強の鬼、“大江山の酒呑童子”の腕なのでしょうか? それとも、原野の鬼同丸? いやいや、羅生門の鬼かな?

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西本願寺の七不思議:その7「梟の灯籠」

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境内の北に、数寄屋風の「黒書院」と呼ばれる建物があります。この建物は、内向きの接客や寺務を行う際に使われていたそうなのですが、この黒書院に「梟(ふくろう)の灯籠」と呼ばれる灯籠があります。この灯籠も見たところ、特に変わったところはなさそうなのですが、不思議なことに、雨が降る前の晩になると、この灯籠から、フクロウの鳴き声が聞こえてくるそうです。

とても不思議なことですが、天気の予報には役立ちそうですね。フクロウの「ホー、ホー」という鳴き声ぐらいならうるさくないので、自分の家にあってもいいかも…。

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本願寺(西本願寺):京都市下京区堀川通花屋町下ル TEL : 075-371-55181

(写真・画像等の無断使用は禁じます。)

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