納涼床 ~京都の夏の風物詩

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京阪電車の祇園四条駅を降りると、目の前に京都の代名詞とも言える鴨川が広がります。そして、夏の季節のなると、川の右岸に河川敷まで舞台のように張り出した床が作られます。これが、納涼床(川床)です。今回は祇園祭や五山の送り火と共に、京都の夏の風物詩として親しまれている「納涼床(のうりょうゆか)」の話をしましょう。

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鴨川の納涼床とは

鴨川の納涼床はゴールデンウィークに入る頃から、床の組み立てが始まります。京都市街の東に流れる鴨川の、北は二条大橋から南は五条大橋の約2㎞の間に96軒(2015年現在の店舗)の飲食店の床が並びます。

北から「上木屋町」、「先斗町」、「西石垣」、「下木屋町」の4つのエリアに分かれ、京料理のみならず、中華やフレンチ、イタリアン、コリアンなど、いろいろなジャンルで、鴨川の流れと川を渡る川風に涼みながら、夏の京都の味を堪能することができます。

納涼床の歴史

川の河原や中洲は古来より、公権力が及ばない場所とされていました。そのため、世間から蔑視された乞食や遊女、芸人といった“河原者(かわらもの)” と呼ばれる人たちが暮らす場所となっていました。

鴨川も桃山時代の頃、四条大橋辺りに “中之島” と呼ばれる大きな中洲がありました。京都の河原者はその中之島で生活をし、見世物小屋や踊りの舞台を開いたと言われています。この時代に、女芸人の出雲阿国(いずもの おくに)が鴨川の河原で踊った“かぶき踊り(現在の歌舞伎の原点)”が世間に広まったのも、このような土壌があったからでしょう。因みに、四条大橋の袂には出雲阿国の像が建っています。

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京都の裕福な町衆は、夏になると踊りや見世物を見物するために、川の浅瀬に床机を立て、足を鴨川の水に濡らして涼をとったと言います。これが納涼床の始まりです。

江戸時代になって、三条大橋が東海道の終着点になると、鴨川の河原には遠方から来るたくさんの人が集まり、大いに賑わうようになりました。この時に、京都の豪商たちが、客人をもてなすために納涼床に舞妓さんを侍らしたことから、先斗町や木屋町に御茶屋や置屋が多くできるようになったとも言われています。あの界隈の京都らしさというものは、そういう歴史の基に醸し出されているのですね。

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その後、明治の中頃までは、納涼床は鴨川の浅瀬に設置されることになるのですが、暴れ川として知られる鴨川はその間、幾度も氾濫し、その度に、床が流され、その流木が下流の地域に大きな被害をもたらしたそうです。

明治末から大正にかけて、鴨川は大規模な治水事業が行われました。両岸の護岸工事や中之島の撤去などにより、河原の様相は一変し、鴨川の流れも速くなりました。そのため、納涼床を鴨川に設置することができなくなり、現在のように岸から張り出した高床式の形状になったと言われています。床自体の歴史はかなり古いものですが、今のような舞台状の床になったのはわりと最近だったのですね。

納涼床はその後、太平洋戦争の時に、灯火規制により一時、中断されたことはありますが、現在に至るまで、毎年、納涼床は京都の夏の行事として、続けられています。

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京都には4つの納涼床があります

京都で納涼床がある場所は、これまでお話しした、鴨川の他、貴船、高雄、鷹ヶ峯の4箇所です。納涼床、川床の「床」は、「ゆか」、もしくは「とこ」と読みますが、納涼床が行われる場所によって、呼び方がそれぞれあります。

鴨川は「納涼床(のうりょうゆか)」

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貴船は「川床(かわどこ)」

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高雄は「川床桟敷(かわどこさじき)」

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鷹ヶ峯は「渓涼床(けいりょうゆか)」

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京都の夏の風物詩

京都の街は山に囲まれた盆地で、風通りが悪く、夏は暑く、冬は寒いところです。特に京都の暑さは湿気が多いこともあって、肌にまとわりつくような酷い暑さです。そういった暑い京都だからこそ、京都の先人たちは涼を得るための様々な工夫を生活の中に生み出しました。そのひとつが納涼床です。京の風物詩、納涼床に誘われて、京都の奥ゆかしさ、風流さ、優雅さを味わってみてはいかがでしょう。

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※鴨川納涼床の期間は5月1日~9月30日です。夜の床はこの期間中、利用できますが、昼の床は食中毒を避ける意味で5月と9月のみの営業となっています。

(写真・画像等の無断使用は禁じます。)

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