京都の銭湯はただならぬ場所

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ぶらりと京都の町に出てみると、意外と目につくのが、銭湯。「風呂屋」とか「湯屋」とも呼ばれる、いわゆる公衆浴場ですが、戦禍を免れたこともあってか、築70年、80年はざらで、中には築100年を超える歴史ある銭湯を京都の町のあちらこちらで見ることができます。今回はちょっと変わった京都の「銭湯」の話をしましょう。

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銭湯は京町遺産?

銭湯と言えば、東京のイメージが強いですが、東京の場合は大正に起きた大震災や昭和の大空襲で、それまであった銭湯はほとんど焼けてしまい、現存する銭湯の多くは、昭和の高度成長期に建てられたものがほとんど。つまり、古くとも築50年から60年。そういう点から考えると京都の銭湯は大変、貴重なものと言えるでしょう。

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歴史と風格のある銭湯が今も多く残っている京都は古刹の名所が世界遺産ならば、銭湯はさながら京都町遺産といったところでしょうか。ところで、そんな京都の銭湯には他では見られない不思議なものがあるのです。

不思議な看板

お昼前に銭湯に行くと、入り口に「本日あります」と書かれた札状の看板が掛けられていることがあります。これ、何だと思います?これだけを読むと「いったい、何があるんだろう? 何か催し物でもあるのか…」なんて思ったりしませんか。実はこれ、「今日は営業します」という意味なのだそうです。

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その昔、お風呂を沸かす材木が不足していた時代の頃、木材があるときだけ、お風呂を沸かしていました。つまり、「今日あります」は「今日、木材がありますので、営業します」という意味で、お客さんが銭湯が営業しているかどうかを判断するものだったわけです。それが、いつしか習慣となり、伝統となって、今でも銭湯の営業を知らせる案内として使われているのです。古いしきたりであっても、良いと思うものは残すところは、伝統を重んじる京都人らしいところです。

銭湯における京都人の作法

京都の銭湯でもっとも京都らしいと言われるのが、籠の使い方です。一般的には脱いだ服は籠に入れっぱなしにしておくか、籠を使わず、直接、ロッカーに入れるのが普通ですが、京都の銭湯では脱いだ服を籠に入れ、籠ごとロッカーに入れるという京都ならではの作法があります。

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今では考えにくいことですが、内風呂がまだ一般的でなかった昭和の中頃までは、銭湯はお客さんで混雑していて、ロッカーが空くのを待つこともしばしばでした。そんなことがあって、ロッカーの空きを待っている人のために、ロッカーの前で着替えをせず、さっとロッカーから籠を引き出して、次の人にロッカーを譲ることができるようにという配慮から、この作法が生まれたようです。些細な事かも知れませんが、これも京都人らしい気づかいと言えるでしょうね。

タイルで埋め尽くされた美空間

伝統ある京都の銭湯に行くと驚かされるのが、浴室から脱衣場の洗面所の至るところを彩色豊かでモダンなデザインのタイルで埋め尽くされていることです。タイルを使うことはもちろん、京都の銭湯だけではなく、他の地域の銭湯でも使われますが、京都の銭湯は使い方が半端ではないのです。床一面、壁一面、そして柱に至るまで、数十種類の色やデザインが違ったタイルを組み合わせて、埋め尽くされているのです。その美しさとレトロ感には、思わず心が奪われてしまいます。

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京都の銭湯は人々の憩いの場でありながら、伝統的な建造物に京都人の美意識が表現された、ただならぬ場所なのです。京都市内には現在、約140軒の銭湯があるそうです。庶民が作り出した美空間、京都の銭湯に身も心も浸してみては如何でしょうか。

船岡温泉:京都市北区紫野南船岡町82 TEL:075-441-3735

(写真・画像等の無断使用は禁じます。)

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