禅づら~禅寺の個性を表現する言葉

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“ヅラ”と聞くと「ヅラじゃない、桂だ」という、どこかで聞いたセリフが頭に浮かんでしまう人もいらっしゃるかと思いますが、京都にはその“ヅラ”ではなく、面構えなどという面(つら)の意味で使われる“づら”があります。それは「禅づら(ぜんづら)」。今回は知っていると寺詣でが楽しくなる「禅づら」の話をしましょう。

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「京都五山」と「禅づら」

京都の禅宗寺院を格付けする時に「京都五山」という言葉が使われます。「京都五山」とは、まず“五山之上”と言って、南禅寺を別格とした上で、第一位に天龍寺、第二位に相国寺、第三位に建仁寺、第四位に東福寺、第五位に万寿寺と順に並べたものです。

ところで、ここには同じ臨済宗でありながら、有名な大徳寺や妙心寺は入っていませんよね。それは、この順位は臨済宗に帰依していた足利家と密接な関係があった寺院を格付けしたもので、室町幕府の政略的な思惑があったのではないかと言われています。そういうことからすると、この格付けは案外、胡散臭いものなのかも知れませんね……。

この「京都五山」とは別に、臨済宗のお寺には「禅づら」と呼ばれるものがあります。これは格付けではなく、臨済宗のお寺の特徴をひと言で言い表すものです。では、その「禅づら」を紹介しましょう。

臨済寺院トップ7ヵ寺の禅づら

南禅寺の「武家づら」

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別格の南禅寺『武家づら』と言います。南禅寺は徳川家などの武家の篤い帰依を得て、発展した寺ということが、その根拠と言われています。例えば、大方丈にある「昼の間」は豊臣秀吉が建てた御所の清涼殿を賜ったものであり、巨大な三門は三重の津藩主・藤堂高虎の寄進によって建てられました。そういった武家との関係があって、「京都五山」では南禅寺は別格扱いになっているのです。

南禅寺:京都市左京区南禅寺福地町 TEL : 075-771-0365 

相国寺の「声明づら」

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相国寺『声明(しょうみょう)づら』と言います。声明とはお経に音楽をつけて歌うように唱えることですが、相国寺から聞こえてくる声明があまりに美しいことから、そう呼ばれています。どんなに美しい声明なのか、是非とも聞いてみたいところですが、今は、残念ながら、一般参拝者はその声明は聞くことができないそうです。

相国寺:京都市上京区今出川通烏丸東入相国寺門前町701 TEL : 075-231-0301 

建仁寺と天龍寺の「学問づら」

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祇園にある建仁寺『学問づら』と言います。建仁寺は禅寺として有名ですが、元々は純粋な禅寺ではなく、天台宗や真言宗も学ぶ、言えば、兼学の道場のようなお寺でした。そのため、禅僧に広まった漢文学である“五山文学”や詩文などの芸術に秀でた禅僧を多く輩出したことが、そう呼ばれる理由です。また、世界文化遺産に登録されている天龍寺も同様の理由から、同じく『学問づら』です。

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建仁寺:京都市東山区大和大路四条下ル小松町584 TEL : 075-561-0190 

天龍寺:京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町68 TEL : 075-881-1235 

東福寺の「伽藍づら」

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25ヵ寺の塔頭を持つ東福寺『伽藍(がらん)づら』です。こう呼ばれる理由は、東福寺を訪れた人なら察しはつくかと思いますが、東福寺の三門や仏殿などが、禅宗の寺としては最大級の大きさの伽藍(寺院の建築物)があることが、その理由です。

東福寺:京都市東山区本町15丁目778 TEL : 075-561-0087 

大徳寺の「茶づら」

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大徳寺は22ヵ寺の塔頭を持つお寺ですが、千利休が大徳寺に帰依したことから、多くの大名が利休から茶の湯を学び、大名ゆかりの塔頭に茶室を持つところが多いことから、『茶づら』と言われます。実際、茶席の数は30席近くあります。1つのお寺に茶席がそれだけの数があるのは、普通では考えられないことです。

大徳寺:京都市北区紫野大徳寺町53 TEL : 075-491-0019 

妙心寺の「算盤づら」

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最後に、妙心寺『算盤(そろばん)づら』と言われます。日本には臨済宗寺院が約6,000ヵ寺もあり、そのうちの約3,400ヵ寺が妙心寺派の寺院です。そのために、財政的にかなり苦難があったことから、節約に徹し、合理化した運営を徹底して行ったことから、このように呼ばれています。

妙心寺:京都市右京区花園妙心寺町1 TEL : 075-461-5226 

禅寺の個性を表現する「禅づら」

このようなものを「禅づら」と言いますが、如何でしたでしょうか。とてもわかりやすい言葉でそれぞれの禅寺の個性を言い表していることから、恐らく、自然と民衆から生まれた言葉だと思いますが、この「禅づら」をちょっと頭に置いて、それぞれのお寺を訪ねると、いつもと違ったお寺の姿が見えてくるかもしれませんよ。

(写真・画像等の無断使用は禁じます。)

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