日本神話「因幡の白兎」に登場する大国主命(オオクニヌシノミコト)は白うさぎを助けた、心優しい神様ですが、縁結びの神様としてもよく知られています。今回はその大国主命を縁結びの神様として祀っている地主神社(じしゅじんじゃ)の話をしましょう。
大国主命を祀る、縁結びの神社
京都東山にある清水寺の本殿をぬけて北に行くと、鳥居と大きな赤い「縁」という文字が見えてきます。その鳥居をくぐって、短い石段を上がったところに、縁結びに御利益があることで人気の「地主神社(じしゅじんじゃ)」があります。
この神社には大国主命とその父母である素戔嗚尊(スサノオノミコト)と奇稲田命(クシナダヒメノミコト)、そしてさらにその父母の足摩乳命(アシナズチノミコト)と手摩乳命(テナズチノミコト)の3代に渡る神様が祀られています。親子3代が同じ社に祀られていることから、縁を大切にするという意味で「縁結びの神社」と呼ばれるようになったようです。
清水寺より古い神社
地主神社は規模としては小さい神社ですが、その起源は清水寺より遙か昔で、言い伝えによると、日本建国以前の神代の頃とされています。ただ、実際にはそれを証明するものは何もなく、明確にはわからないようです。最近になって米国の原子物理学者、ホースト博士が、本殿前に置かれている「恋占いの石」を科学的に年代測定を行ったところ、石そのものは縄文時代のものであることが判明しました。しかし、それも単に石の年代が分かっただけのこと。地主神社の創建はいつのことかは今も謎のままです。
恋の成就は石まかせ
地主神社に訪れる人たちの一番のお目当ては本殿前に置かれた「恋占いの石」。2つの石が東西の方向に10メートルほど離して置かれていて、一方の石から目を閉じて歩き、もう一方の石に無事にたどり着いたら、恋の願いが叶うといわれています。
迷うことなく、一度でたどり着ければ、恋の成就は早く、たどり着くのに二度三度とかかれば、恋の成就は遅くなり、周りの人のアドバイスを受けながら石にたどり着けば、人の助けを借りることで恋が成就するとか…。もともと、目隠しをして、一定の距離のもとへたどり着くことができるかどうかで、物事を占うやり方は目を閉じて神様の声に耳を傾けるという信仰心から発展したものと言われています。
こうして、今の時代になっても「恋占いの石」に恋の行方を願う人たちが後を絶たないのは、恋はいつの時代もままならないものということなのでしょうね。
地主神社:京都市東山区清水1丁目317 TEL:075-541-2097
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