釘抜地蔵 ~苦しみを抜いてくれるお地蔵さん

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京都・西陣地区の千本上立売(せんぼんかみだちうり)に弘法大師が開いたとされるお寺、「石像寺(しゃくぞうじ)」があります。名前に“石像”とあるように、このお寺は弘法大師が唐より持ち帰った石に、自ら地蔵菩薩の尊像を彫り、人々を様々な苦しみから救うことを祈願したのが始まりとされています。

この地蔵菩薩は「釘抜地蔵(くぎぬきじぞう)」と呼ばれ、不思議なパワーがあることから、今も多くの人の信仰を集めています。今回はあらゆる苦しみを抜いてくれるお地蔵さん、「釘抜地蔵」の話をしましょう。

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どうして「苦抜」が「釘抜」と呼ばれるようになったのか

石像寺のご本尊であるお地蔵さんは、苦しみを抜き取ってくれるお地蔵さんということで、もともとは「苦抜地蔵(くぬきじぞう)」と名付けられていました。ところが、ある出来事があってから、「釘抜地蔵(くぎぬきじぞう)」と呼ばれるようになるのです。さて、その出来事とは・・・。

室町時代のことです。京都に紀伊国屋道林(きのくにや どうりん)という大商人がいました。商売に専念し、周りの人からも信頼される、真面目な男でした。そんな道林が40歳の時、突然、両手に鋭い痛みを感じたのです。それはまるで、鉄の棒でも刺さったかのような酷い痛みでした。医者に診てもらっても、その痛みの原因はわからず、道林は何日も耐え難き痛みに苦しみました。

そんなある日、道林は人から、あらゆる苦しみを抜いてくれると言われる「苦抜地蔵」のことを教えられました。早速、道林は藁にもすがる思いで、そのお地蔵さんに両手の痛みが治るようにと7日間、願掛けをしたのでした。そして、7日目の夜のこと。道林は夢の中でお地蔵さんのお告げを受けました。

夢の中に現れたお地蔵さんは「お前の両手の痛みは、お前の前世が人を恨み、藁人形を作って、その両手に八寸の釘を打ち込み、呪ったことが原因だ。その人を呪ったという罪が、お前にかえり、その報いとして、両手に痛みが現れたのだ。前世とは言え、真面目なお前に報いが来るのは可哀想なことだから、私が、その前世の恨みの釘を抜いてやろう」と言って、2本の釘を引き抜き、道林に見せたのです。釘を見た道林が「おぉっ!」と驚いたところで、夢から覚めました。そして、両手の痛みはウソのように消えていたのです。

手の痛みが取れた道林は、「これはお地蔵さんのおかげに違いない」と思い、翌朝に早速、お地蔵さんの元へお礼参りに行きました。すると、そこで、道林が目にしたのは、お地蔵さんの前に置かれた、血のついた2本の八寸釘だったのです。道林は「これは夢の中でお地蔵さんが抜いてくれた釘だ!」とお地蔵さんに深く感謝し、それから100日の間、お礼参りをしたと言います。この不思議な出来事があってから、「苦抜地蔵」は「釘抜地蔵」と呼ばれるようになったのです。

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ストレス社会に有り難いお寺

石像寺を訪れると、地蔵堂の壁に釘抜きと八寸釘の絵馬が隙間がないほどに、びっしりと掛けられている光景に目を見張ります。異様にも見えるその釘抜きと八寸釘の絵馬の数には、如何に苦しみを抱える人がたくさんいらっしゃるかを思わされます。

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この石像寺には、釘抜地蔵のパワーをあやかろうと、体の痛みや、心の傷みを抱えた人が近郊のみならず、北海道や九州といった遠方からもたくさんの参拝者が毎日、訪れています。

また、石像寺のご住職は臨床心理士であることから、寺内で「こころの相談室」を開いて、心の悩みを抱える人にカウンセリングも行われています。

様々な苦しみと抜いてくれお地蔵さんと、心の悩みの相談ができるご住職がいらっしゃる石像寺は、ストレス社会と言われる現代にとっては、とても有り難いお寺なのです。

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石像寺:京都市上京区千本通上立売上ル花車町503 TEL : 075-414-2233 

(写真・画像等の無断使用は禁じます。)

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