転んだら、3年以内に死ぬと言い伝えられている坂があります。その坂の名は「三年坂」。清水寺の参道である清水坂からはずれて、八坂神社に向かう狭い石段の下り坂に出ると、そこが「三年坂」です。
この辺りは、重要伝統的建造物群保存地区に指定されており、周辺には清水寺、八坂の塔、高台寺、八坂神社などの観光名所が建ち並ぶ、最も京都らしい風情のあるところです。
「三年坂」の名前の由来
「三年坂」の名前の由来には諸説あります。
大同3年(807年)にこの坂道が作られたことからという説。
清水寺に参拝した人が、この坂道で再び願うことから“再念坂”、あるいは、願いが叶った後に、清水寺にある子安観音へ御礼のお参りをするときに通ることから“再念坂”と呼ばれるようになり、それが変化して「三年坂」となったという説。
そして、“お産が寧らか(やすらか)でありますように”と子安観音へ祈願するために登る坂であることから、“産寧坂(さんねいざか)”と呼ばれるようになり、いつしか、“さんねい”が“さんねん”になって、「三年坂」へと変化したという説があります。
どれもありそうな説ばかりですが、妊婦さんが階段を昇り降りすることで、赤ちゃんが下がってきて、陣痛が促されるということは、今の時代でも言われることなので、安産を願って坂を登った、と名付けられた“産寧坂説”が、この中でも有力なのかも知れませんね。
転んだら、3年以内以内に死ぬ?
さて、三年坂の由来はともかく、では、どうして三年坂で転んだら、3年以内に死ぬと言われるようになったのでしょうか。
それは、石段の坂道なので、転んで、打ち所が悪ければ、大変なことになるので、気をつけなさいという戒めということで、坂の名前に掛けて、3年以内に死ぬと言われたようで、今風に言えば、都市伝説の類いというところなのでしょうか。
でも、清水寺があるこの地域は、古来から埋葬の地であったとされています。そして、鵺(ぬえ)という妖怪が埋められていると伝えられている地でもあるのです。そういうことからすると、3年以内に死ぬということにはもっと深い意味があるのかも知れません…。
万が一、転んでも大丈夫
ところで、もし、本当に「三年坂」で転んでしまったとしたら……。大丈夫です。そんな人のために、三年坂を少し上がった途中に、瓢箪屋さんがあるのですが、そこで、角がとれて丸く収まるという厄除けの効果があるとされる縁起物の瓢箪を買って、身につけていれば、余命3年なんていうことにはならないので、ご安心を。
三年坂(産寧坂):京都市東山区清水 TEL:075-752-7070(京都市観光協会)
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