八坂の庚申さん~日本最初の庚申信仰

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京都・東山の八坂の塔の近くにこぢんまりとしたお寺があります。今回は、境内には色とりどりのカラフルな丸い人形のようなものがたくさんぶら下げられている、ちょっと変わったお寺の話しをしましょう。

このお寺は「大黒山延命院金剛寺庚申堂」というのが正式な名称ですが、一般的には「八坂庚申堂(やさかこうしんどう)」という名の方がよく知られています。また、地元の人からは親しみを込めて「八坂の庚申(こうしん)さん」という愛称でも呼ばれています。

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日本で最初の庚申信仰

八坂庚申堂は、大阪四天王寺庚申堂、そして今は現存しませんが、東京入谷庚申堂と並んぶ日本三大庚申堂のひとつで、日本で最初に庚申信仰が始まったお寺とされています。

庚申信仰には諸説があって、いまひとつはっきりしないところがありますが、道教の説く「三尸説(さんしせつ)」をもとに仏教、密教、神道、修験道などに日本の民間信仰や風習が交じり合った複合信仰と言われています。仏教は極楽往生を説くものですが、道教は現世での利益を叶うことを説くことから、庚申信仰は庶民には人気があったようです。

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怖いお顔の青面金剛明王

八坂庚申堂の本尊は青面金剛明王(しょうめんこんごうみょうおう)。これは飛鳥時代に中国大陸から渡来した秦河勝(はた かわかつ)という人物が秦氏の守り本尊として祀ったものだそうですが、これがやたらと怖い顔をしているのです。青面金剛は末法の世の人たちを救うために現れた夜叉の姿だから、怖い顔をしているそうです。青面金剛は悪人を喰らっても、善人は食べないそうですから、あなたが悪人でなければ、ご安心を…。

猿は庚申さんの使い

「庚申」とは字の如く、干支の“かのえ(庚)さる(申)”のことで、猿との関係が深く、本堂には「見ざる・聞かざる・言わざる」の三体の猿の像が祀られています。

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「西遊記」に登場する三蔵法師のお供の孫悟空は当時、旅の安全の祈願として馬に吊した猿のお守りから発想されたとも言われているように、中国では古くから猿は魔除けと考えられていたようです。庚申堂の3匹の猿も庚申さんのお使いなのかも知れません。ただ、それが「見ざる・聞かざる・言わざる」というところが、民間信仰ぽくって、親しみを感じますね。

人間の欲望を封印する「くくり猿」

庚申堂の近隣の家の軒下や境内のあちらこちらには布地で作られたカラフルな丸い形をしたものがぶらさがっているのを目にします。

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奈良の奈良町に伝わる「身代わり猿」や飛騨高山の「さるぼぼ」に似た形をしていますが、これは「くくり猿」といって、手足がくくられて動けなくなった猿の姿をしたお守りなのです。

猿はやんちゃで、自分の好き勝手に行動する動物ですが、その猿の手足をくくって動けない姿を人間の心の中にある“欲望”に喩え、余計な欲に走らないように人間の欲望をコントロールするという意味があるそうです。

「くくり猿」の中には青面金剛のお札が納められているのですが、怖い顔をした青面金剛が欲という悪を喰ってくれるのだそうです。因みに、「くくり猿」に願いを込めて、欲をひとつ我慢すると願い事が叶うとか……。人は欲望の多い生き物です。そして、その欲望の赴くままに行動すれば、痛い目に遇うこともあります。そういった罰が当たらないためにも自分自身を戒めることは大切なことです。余計だなと思える欲望があれば、「くくり猿」に封印してみては如何でしょうか…。

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八坂庚申堂:京都市東山区金園町390 TEL:075-541-2565

(写真・画像等の無断使用は禁じます。)

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