2014年6月21日、カタールのドーハで開催されたユネスコの世界遺産委員会で群馬県の「富岡製糸場と絹産業遺産群」が世界文化遺産として正式に登録されました。国内の世界遺産は2013年6月に登録された「富士山」に続き、これで18件目になります。日本って小さい国のわりには世界遺産の登録の数が多いと思いませんか? ところで、世界遺産と聞いてすぐに頭に浮かぶのは、やはり京都の世界遺産です。今回は「世界文化遺産 古都京都の文化財」の話をしましょう。
『古都京都の文化財』の登録
1993年10月に日本政府が世界遺産委員会に京都の社寺や城を「古都京都の文化財」として推薦し、偶然にも平安建都1200年に当たる1994年12月にプーケットで開かれた第18回世界遺産委員会において、「古都京都の文化財」が世界文化遺産として登録されました。
「鳴くよ うぐいす 平安京」の語呂合わせで憶えた人も多いと思いますが、794年(延歴13年)に、日本の首都、平安京は創られました。それから1000年にもわたって、日本の政治と文化の中心として栄えたのです。
その長き間に、京の都は幾度となく大火や兵火に見舞われ、建物の多くは焼けてしまいますが、その度に諦めることなく再建に尽力をつくした結果、日本文化の象徴として今も日本人の心に安らぎを与え続けているのです。
世界文化遺産に登録された理由とは?
「古都京都の文化財」が世界文化遺産に登録された理由には、平安時代から江戸時代に入るまでの各時代を代表する建築様式、庭園様式、そして、その文化的背景を今に伝え、日本の建築、造園、都市計画の発展に大きく寄与したことが上げられています。
京都は木造建築を主体とする歴史的都市の中で、1200年もの間、ひとつの国の文化の中心となり続けているという点においては世界で唯一の都市でしょう。
例えば、建築の分野においては、日本の基礎的建築様式の「和様」や16世紀末から17世紀初頭に用いられた「桃山様式」は京都で洗練され、それが日本全国へと伝え広がった建築様式です。
また、造園においても、京都で産み出された枯山水や浄土式庭園といった庭園様式が後に日本各地へと広がりました。そして、都市計画においては、中心部と周縁部からなる京都の都市の構造を取り入れた、いわゆる「小京都」と呼ばれる都市が16世紀以降、日本各地で盛んに造られたました。
「古都京都の文化財」は都市の近代化とともに失われていく日本の伝統的木造建築の文化とその技術を後生に伝える、人類にとってかけがえのないものなのです。
登録された建造物は、なんと17!
「古都京都の文化財」で登録されている建造物は賀茂別雷神社(上賀茂神社)、加茂御祖神社(下鴨神社)、教王護国寺(東寺)、清水寺、醍醐寺、仁和寺、高山寺、西芳寺、天龍寺、鹿苑寺(金閣寺)、慈照寺(銀閣寺)、龍安寺、本願寺(西本願寺)、二条城、平等院、宇治上神社、延暦寺の17件。それぞれについては今後、お話ししたいと思いますが、こうして見ると、さすがにどの建造物も名の知れた有名なものばかりですね。京都の世界遺産めぐりで、京都の文化に浸ってみてはいかがでしょうか。
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