京都をイメージしたときに、舞妓さん(京都的な言うなら、舞妓はん)を思い浮かべる人も多いでしょう。京都にはその舞妓はんに会える町があります。
京都の花街とは
その街とは「花街」。“はなまち”、もしくは“かがい”と読みます。「花街ってお花を売っているところ?」なんて思う人もいるかもしれませんが、「花街」とは、舞や三味線などの芸のプロである芸舞妓が暮らし、“お茶屋”という芸舞妓たちの仕事場がある街のことです。
京都には上七軒、祇園東、先斗町、祇園甲部、宮河町の5つの花街があり、これを総称して「五花街(ごかがい)」と呼ばれています。今回のその5つの花街のひとつ、「先斗町」の話をしましょう。
細長い花街、先斗町
先斗町は北は三条通の一筋南から、南は四条通までの南北約500メートル、東は鴨川から西は高瀬川までの東西約50メートルの極めて南北に細長い町。人とすれ違うときに遠慮気味に歩かないとぶつかりそうなぐらいの狭い通りの両側に、ずらりとお茶屋さんや小料理屋、バーなどが立ち並んでいます。
「先斗町」は「ぽんとちょう」と読みますが、読みの音だけを聴くと花街だけに鼓を打ち鳴らしたときのポン!という音を連想したくなるような響きがあって、しかもどこか日本離れした感じさえ受けませんか?
「先斗町」の町名の由来には諸説あるようですが、一番有力な説はポルトガル語の“PONTO”という点や先端といった意味の単語が元になっているという説です。何故、この単語が当てられたかと言うと、街が鴨川の河口に向かって突き出たようなカタチになっているからだということです。
また、別の説として、これもポルトガル語ですが、“PONTE”という単語が起源になっているという説があります。“PONTE”には橋という意味があるのですが、先斗町は北に三条大橋、南に四条大橋という大きな橋があることから、この説があるようです。
どの説が正しいかはさておき、先人が思いを持って街に名前を付けたことには変わりないので、その思いに心を寄せながら、先斗町をそぞろ歩きするのは楽しいものです。
可愛らしい千鳥の提灯
先斗町の通りは歩くだけで、京都らしさを満喫できます。清潔な通りは飲み屋街のような猥雑感もなく、お店の看板に灯が灯る頃は一段と京都らしい情緒が増します。そんな時に目につくのが先斗町の紋章である千鳥がデザインされた赤い提灯。これが結構、モダンでカワイイのです。
千鳥は最近、見かけることが少なくなりましたが、昔は鴨川の代表的な鳥だったそうで、街の人からは昔も今も愛されています。今は“よたよた千鳥”という愛称まであるようですよ。千鳥歩きするお父さんに掛けているのでしょうか…。先斗町を訪れた際には、ぜひ、千鳥の提灯も探してみてください。
京都の情緒が溢れる街、先斗町。何度行っても、また歩きたくなる町です。
先斗町:京都市中京区梅之木町(先斗町通)
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