京都の街を歩くと、石畳の通りに出会うことがあります。
大きな通りから横道の細い通りに入ると、そこが石畳になっている。そんな石畳の通りを見つけると特に通るつもりもないのに、ちょっと歩いてみようかという気になります。
京都の石畳は規則正しく敷き並べられていて、その様相は美しく、京都らしい風景です。晴れている日はもちろん、雨で濡れた石畳もまたいいもので、アスファルトでは絶対に感じることができない味わいがあります。そんな京都の石畳の通りの中で、最も美しいとされている石畳の通りの話しをしましょう。
細い石畳の小路
東山にある秀吉とねねのお寺・高台寺と秀吉が亡くなった後、仏門に入ったねねが晩年まで過ごした住居である圓徳院の間を通る「ねねの道」を八坂神社から清水寺に向かって歩いていると、圓徳院を少し過ぎた右手にひっそりとした細い石畳の小路があります。うっかりすると通り過ぎてしまいそうな路地ですが、この石畳の小路が伝統建築物保存地区にも指定されている「石堀小路」(いしべいこうじ)です。
小路の両側には料亭や旅館が建ち並び、伝統的な板堀の家並みが続く風情あるこの石畳の小路は、祇園の奥座敷とも言われいます。
ひとりで歩くもよし、大切な人と歩くもよし
石塀小路はジグザグに折れていて、行く先が見えない造りになっています。歩いて行くことで徐々に先の石畳と家並みが見えてくる感覚は、どこか知らない世界に迷い込んだような不思議な気持ちになります。1㎞もない短い通りですが、ゆっくりと歩きたい小路ですね。
ところで、この石塀小路が作られたのは意外に新しく、大正初期のことだそうです。京都では100年経たないと老舗とされないので、この石塀小路は京都の人にとっては新しい場所なんでしょうね。因みにこの小路に敷き詰められた石畳の一部には昭和50年代に廃止された京都の市電の敷石が使われているそうです。それを知ると更に親しみが湧いてきます。
夜になると料亭や旅館の看板に灯が入り、昼間に見る石塀小路とはまた違った趣を見せてくれます。
ひとりで歩くのもよし、大事な人と歩くのもよし。石畳の石塀小路で、京都の情緒を味わってみませんか。
石塀小路:京都市東山区八坂神社南門下ル石塀小路
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